[看護師監修]おたふく風邪の症状とケア
寒い日が続き、様々な感染症も流行る時期です。今回はおたふく風邪について症状や治療法、合併症などをまとめます。
おたふく風邪とは
おたふく風邪は、正式名称は「流行性耳下腺炎」といい、両耳の付け根からのどにかけてある唾液腺の耳下腺がムンプスウイルスによって炎症を起こし腫れる病気です。
ムンプスウイルスは、接触・飛沫感染するのであらゆるところで感染する可能性があります。
発症する年齢は4歳以下が半分程を占め、保育園や幼稚園など集団生活を始めると感染のリスクが上がります。
おたふく風邪は「学校保健安全法の学校感染症」に指定されていて、感染すると出席停止になります。医師の診察により耳下腺などの腫れが出てから5日たち、全身状態が良好であれば出席が認められます。
おたふく風邪の症状は?
2〜3週間の潜伏期間を経て、両側または片側の唾液腺が腫れます。ほとんどの場合は耳下腺が腫れますが顎の方にある顎下腺や舌下腺が腫れる事もあります。唾液腺が腫れる事で食べ物を噛む時に痛みが生じます。また38℃代の発熱を伴う事もありますが3日程で下がります。全体の症状は1〜2週間程で落ち着きます。
おたふく風邪の治療法
おたふく風邪はそのものを治す薬や治療法はなく、抗生剤も効果がない為、症状を和らげる対症療法が主になります。
発熱や痛みには解熱鎮痛剤、痛みで水分が取れず脱水を起こしている場合は点滴治療を行う場合もあります。
自宅では、耳下腺炎の腫れが引くまであまり噛まなくても食べられる喉ごしの良いものをとりましょう。スープやお豆腐、茶碗蒸しやゼリー、プリンなどがおすすめです。ただしすっぱいものは耳下腺を刺激してしまうので避けましょう。
注意が必要!おたふく風邪の合併症
おたふく風邪自体は、比較的症状の軽い感染症ですが合併症が多く中には命に関わるものもあるため注意が必要です。
・難聴(ムンプス難聴)
ムンプスウイルスが内耳に感染して、急性の難聴を引き起こすのがムンプス難聴です。多くは片耳の難聴です。言葉で上手く伝えられない乳幼児の場合は難聴が見逃されている場合もあります。
・膵炎
膵炎は嘔吐やひどい腹痛を起こしますが重症化することは稀で1週間程で回復します。
・脳炎
ムンプスウイルスによって脳が炎症を起こしている状態です。眠気や昏睡、けいれんなどの症状があります。大体は完全に回復しますが神経や脳に後遺症が残る場合があります。
・髄膜炎
髄膜炎になると吐き気や頭痛が起こります。稀に昏睡やけいれんを起こす事もあります。乳幼児の場合は常に機嫌が悪い時は、気をつけて観察しましょう。ほとんどは回復しますが、神経性難聴や顔面神経麻痺などの後遺症が残る場合があります。
おたふく風邪になった時は、主に自宅で様子を見るので合併症にある症状で少しでも気になるところがあれば、病院で医師の診察を受けましょう。
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