【働く主婦】パート勤務の厚生年金負担をどう思う?後編

2020/1/29 お仕事情報

働く主婦の働き方として、正社員で働く方法と、家事や育児、介護などの兼ね合いからパート勤務を選択する人も見られます。今回は、パート従業員にクローズアップし、働き方を見据えたアンケート結果をまとめています。前編に引き続きご覧ください。

将来的にはパート従業員も厚生年金加入対象に

パート従業員が厚生年金に加入する場合の条件の一部をピックアップしました。

  1.  従業員数501人以上の職場が対象
  2. 所定労働時間が週20時間以上勤務の場合
  3. 月額賃金8.8万円以上(年収106万円)
  4. 従業員数500人以下の場合、労使合意に基づき厚生年金に加入できる

小さな職場でも、厚生年金に加入しているパート従業員も出ています。

厚生年金ってなに?

ここで厚生年金について簡単にまとめます。私たちは60歳になれば国から年金を受給することができます。20歳以上になると必ず国民年金への加入が義務付けられ、年金保険料支払の義務が生じます。この支払によって将来的な受給額が決定します。

厚生年金に加入した場合「国民基礎年金+上乗せ分」が受給される仕組みです。したがって被保険者となって厚生年金保険料を支払い続けたほうが老後の年金受給額が高くなるというメリットがあります。

年金に関しては「老後2000万円問題」や「日本年金機構問題」などわずかでもニュースを耳にしたことがあるでしょう。若い世代ほど将来的に受給できる年金が少なくなる可能性が指摘されていることも明らかになっています。

こういった背景もあり、パート従業員に対しても厚生年金の適用拡大が決定されました。現状では従業員501人以上の加入義務付けがありましたが、2022年10月には「従業員101人以上」、2024年10月からは「51人以上」と段階的に引き下げになります。

この発表について知っているかという意識調査を行った結果、67.5%の人が「知っている」と回答しています。

短時間労働者の厚生年金の適用拡大はおおむね賛成

この適用拡大に関して、「よいことだ」と思う人は54.5%、2人に1人の人が賛成しています。主婦でも将来の年金収入が増える可能性があるととらえられれば「よい」といえるでしょう。

その反面、「わからない」「よくないことだ」と思う人も見られます。「目下の財源確保のため、主婦からもお金を取る」ととらえることもできますし、中には厚生年金制度の概要がわからないという人もいるでしょう。制度や仕組みに関して理解が不十分であるという結果も見え隠れしています。

パート主婦と厚生年金、メリットとデメリットは?

厚生年金加入の条件が拡大されることに好感触を持っている人が答えた理由です。やはり、将来の年金保障額が増えることが一番のメリットとしていることがわかります。また、社会保険(健康保険料や厚生年金、雇用保険等)の負担は勤務先と折半になることにもメリットを感じている人が見られます。

逆に「よくない」と感じている人は、個人負担によって収入が減るということを第一に挙げています。

「将来のために社会保険に加入する事はいい事だと思うが、今現在の生活のために収入が減るのは困る(40代パート・未加入)」

また、前編でまとめてきたように、夫の扶養を抜けた上、自身の社保負担分をカバーするためには、年収160万円(月額賃金13.3万円以上)の働きが求められます。パート勤務ではどうしてもここまでの収入を得ることが難しいため、働き方を変える必要に迫られる人も出てくるでしょう。

「家事や子育てと仕事のバランスを考えるとまだ数年は働く時間を増やすことができないと思う」

「フルタイム(8時間勤務のパートタイマーの意)で働いており、これ以上働く時間を増やすのは難しいため、仕事内容や時給のよいところを探す」

というように、働くことに対して八方ふさがりになってしまうことも否めません。会社側としてもパート社員にも厚生年金の適用拡大によって会社負担の経費がかさんでしまうことが予想されます。パート社員が正社員へ昇格できる可能性もありますが、リストラが行われる可能性も見え隠れするでしょう。

パートを辞めた後が厳しい

もし、勤務先で厚生年金等の加入のために配偶者の扶養を抜けたとします。何らかの理由で現在のパート先を退職した場合、社会保険手続きが必要になります。

「パート先を退職したから、夫の扶養に入れる」というのは大きな間違いで、最低でも一年間は夫の扶養に入ることができません。企業の考え方にもよりますが、扶養認定は「前年度の収入」によって決定されるため、前年度に規定額以上の収入があれば、夫の扶養資格ができるまで国民年金に加入するか、パート先の社会保険を任意継続する必要が生じます。

任意継続の場合は、会社側の50%負担がなくなりますので、厚生年金を含む社会保険料の支払いが大きくのしかかります。また任意継続も最長2年間です。継続期間中に他社へ入社すれば、そちらの社会保険へ切り替える必要があります。

これから雇用保険の適用がある企業へパートタイム入社する場合は、長く働ける企業であるかといったところも深く見ていく必要があるでしょう。

まとめ

主婦にとって、短時間労働は家事との両立を図れる働き方のひとつです。また社会とのつながりを感じられたり、働くことで自分らしく生きるための活力にもつながります。厚生年金も将来の生活を保障してもらえるシステムですが、今の収入が下がってしまう・働き方を変えざるを得ないというようなデメリットも否めません。持続可能な働き方が求められる昨今、主婦にとって働き方の模索が必要になるでしょう。

 

この記事を書いた人:receipo

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