介護中でも仕事と両立したい~仕事と介護の両立アンケート②~
40代~50代になると、男女問わず表面化しやすいのが「介護」に関する問題です。特に主婦(既婚者)となると「娘でありお嫁さん」という立場となることから、実親や夫の親の介護を一挙に引き受けざるを得ない状況に陥る人も見られます。介護は公的サービスを受けられるとはいえ、実費での費用負担があります。また「子育てするお母さん・家計を切り盛りする妻」という立場になれば、家計を支えるための仕事をする必要も生じます。
レシーポを運営するソフトブレーン・フィールド株式会社では、介護の経験がある働く女性を対象に「親の介護に関する調査」を行いました。今回はその2回目、介護経験者にクローズアップして掘り下げた質問を行いました。介護と仕事の両立に関しても質問を投げかけています。
介護未経験者の方も必見です。
親の介護に関する調査
【調査概要】
- 調査対象:SBFにキャスト登録をしているアンケートモニター(働く女性)
- 調査人数:N=830名 平均年齢47歳
- 調査方法:SBFリサーチサイトを活用したインターネットリサーチ
- 調査地域:全国
- 調査期間:2019年5月9日~2019年5月15日(7日間)
ソフトブレーン・フィールド調べ
もし、介護当事者になっても仕事は続けたい。
過去に介護を経験した人、まだ介護が現実問題ではない人すべての人に伺ったところ「介護と仕事は両立したい」という声が67.2%ありました。中でも2割ほどの人が「わからない」としています。
年齢属性や介護経験の有無はこの結果からはわかりませんが、半数以上の方が「介護と仕事の両立」を望んでいることはわかりました。
介護経験者はフリーランサーやアルバイト中心
こちらは、今回のアンケートから「現在進行形で介護をしていた/介護の経験を持っている」女性の就業形態を調べたものです。
今回のアンケートモニターの属性は、SBFにキャスト登録している人がメインです。ラウンダーとして派遣をする場合は個人事業主として依頼する形になっているので、自営・フリーランスの就業形態が多い結果が出ています。
逆に言えば、介護のためにフリーランサーや短時間労働などの「フレキシブルに対応できる」仕事を選んでいると考えることもできるのではないでしょうか。
介護中に仕事をしていた人がどのような時間帯で働いていたかの結果です。数字上ではフルタイム勤務をしていたという声が一番多いことがわかります。
残り7割もの人は「短時間勤務やスキマ時間や介護の合間、休日を使って仕事をしていた」ことがわかりました。
「地域の包括支援センターやデイサービス、ヘルパーさんを利用していた(60代・介護経験あり)」
「デイサービスやショートステイを活用。家族との介護時間の分担する(30代・介護経験あり)」
要介護度にもよりますが、介護は24時間必要な場合があります。デイサービスなどの公的支援や親族とローテーションを組んで介護というように時間のやりくりをしながら仕事との両立をしていることも伝わります。
本題は、仕事と介護は両立できるか?
こちらは、介護未経験の働く女性に質問をした結果です。もちろん現実的な問題として青写真を描けないため「わからない」と答える方が58.7%。「続けられない」というネガティブな意見と合わせると、およそ85%もの方が肯定的にとらえられないとしていることがわかりました。
現実も見据えなければいけません
30%ほどの方が介護が理由で、自分や家族が離職した・離職予定であることが浮き彫りとなりました。
「自分の状況を派遣先の上司や派遣元の営業に相談をして、介護期間中は仕事が忙しいときのスポット勤務に変えてもらった(40代・介護経験あり)」
というように、職場の理解が得られ配置換えがかなったというケースがありますが、なかなか難しい現実もあるようです。
総務省の2017年の就業構造基本調査によると、過去1年間に介護や看護を理由に離職した人は、約10万人にのぼるという結果が出されています。この結果を受けて、政府は企業や介護と仕事を両立する労働者向けにポータルサイトを開設し、「介護離職ゼロ」を掲げる啓蒙活動を行っています。
「頑張りすぎない介護」の心がけ
「頑張りすぎない介護で良い」「介護や育児は予定通りにいかない」というような話は筆者も耳にすることがあります。また、仕事をすることや誰かと会話をすることは大切です。社会とのつながりを持つことで、介護疲れが解消されることもあるのです。
また、仕事と両立をするにも、とても大切なことですよね。
「家族とよく話す。父の介護時の出来事をあとから笑い話にして、友人にも隠さず話していた(50代・介護経験あり)」
「ヘルパーさんやケアマネさんに相談する(60代・介護経験あり)」
「お金がないとか、精神的に追い詰められているなど、そういうことをケースワーカーなどに相談しにくいけれど、相談すれば意外と解決の糸口がつかめることも多かった。共有することが大事だと思う(50代・現在介護中)」
というように、介護経験中・経験者の方からのアドバイスもありました。
介護の情報収集は公的機関が最多
2019年10月の消費税10%の増税によって、介護事業者の負担もかさんでしまいます。このことから、2019年10月より各サービスの基本報酬の引き上げが予定されているほか、「区分支給限度基準(在宅サービスの毎月の支給限度額)」の変更も併せて行われる予定です。
ただし、このような情報はなかなか介護当事者のもとには届かないといった現状も。介護サービスを積極的に利用しない場合は特にこの傾向が顕著に表れるでしょう。
さて、介護を行う側としては介護を取り巻く環境が目まぐるしく変わるこの状況に敏感になるために情報収集をどのように行うかを伺いました。
一番多かったのが、医療・介護施設の専門スタッフからの情報(61.5%)、次いで自治体(市・区役所・役場)であることがわかりました。
実際に介護の最前線である施設や、省令などを的確にアナウンスできる自治体役場での情報はわかりやすくて良いと思います。
「市主催の介護教室に参加し、ケアマネージャーや病院の医師などと情報交換をしている(60代・介護中)」
「知識がなく、金銭面での損や、使えるサービスが受けられないことがあった(40代・介護経験あり)」
自治体が個別にアナウンスをしてくれることもありますが、介護にかかわらず、基本的には自ら情報を受け取りに行くことが大切です。
知りたいことを受け取りに行くことで、「社会とのかかわりを持つこと」にもつながるのではないでしょうか。
負担を一人で抱え込まずに、頼れる人に頼る
介護と仕事を両立することに必死になってしまうこともあります。要介護度が高い親族を介護することになるとどうしても介護する側も家にこもりがちになってしまうこともあります。
医療保険や介護保険が利用できるとはいえ、金銭的負担も発生します。だから仕事をせざるを得ないという悪循環もあるでしょう。
このような悩みを抱えやすいのは「働く女性/主婦層」です。さまざまな負担も抱え込みやすいので頼れる人に頼りましょう。また仕事などはできるだけ続けることも大切です。