【看護師監修】9月も油断できない~子どもの熱中症の症状と対策
9月に入ってもまだまだ暑い日が続いています。今年の夏は例年以上の暑さで、小学生の児童が熱中症で亡くなったニュースも記憶に新しいのではないでしょうか。またさほど気温が高くなくても湿度が高い時には熱中症になる恐れがあります。実際に子どもが熱中症になると、どのような症状がでるのでしょうか。
もし熱中症になったらどんな対策をしたら良いのか、そもそも熱中症予防のポイントなど、気になる熱中症についてまとめます。
熱中症の症状
子どもは幼いほど、うまく自分の身体の状態を言葉で伝えることができません。身体の状態や出ている症状を注意してみてあげましょう。
・Ⅰ度(軽症)
脱水もなく、熱も上がらず、意識もあります。めまい、立ちくらみ、筋肉痛(こむら返りや足がつるなど)、どんどん汗をかく、手足のしびれ、気分不快感などが出ます。
・Ⅱ度(中等症)
汗をかき、体温は平熱〜40℃未満、意識はあります。症状から、夏に流行する胃腸炎などの感染症と紛らわしいです。頭痛、吐き気、嘔吐、だるさ、疲れなどがでます。あまり動いていなくても「疲れた」としきりに言うようなら、中等症の熱中症を疑いましょう。
・Ⅲ度(重症)
汗がとまり、異常に体温が上がります。中等症の症状に加えて呼びかけへの反応がおかしい、けいれん、真っ直ぐ走れないなどの症状がでます。病院に行って血液検査をすると肝臓や腎臓に障害がでていることもわかります。
熱中症になったら
もし熱中症になってしまったら、身体を冷やして水分補給をしましょう。具体的には
・涼しい場所に移動し、仰向けに寝かせる。
クーラーが効いた室内や、エアコンを効かせた車の中などに移動させ、仰向けに寝かせます。
・身体を冷却
服をゆるめ、保冷剤やタオルで首の両側と後ろ、脇の下、太ももの付け根など太い血管のある部分を冷やします。服に水をかけたり、濡らしたタオルで身体を拭いて、うちわや厚紙などであおぎます。制汗スプレーやアルコール噴霧などは熱中症の応急処置として推奨されていません。
・水分摂取
脱水を起こしている場合は、経口補水液が良いでしょう。年齢によっても違い、乳幼児は乳幼児用の経口補水液や、授乳中の場合は母乳やミルクで水分摂取します。乳児は30〜50ml/kg、幼児は300〜600ml/日程度摂取すると良いかと思います?ただし乳幼児で脱水の症状があるかも…と思った時は、すぐに病院を受診しましょう。小学生以上の場合は経口補水液や、市販のスポーツドリンク、味噌汁の上澄み、2倍に薄めたりんごジュースなどでも良いです。500〜1000ml/日程度、摂取しましょう。
どの年齢でも、意識がなかったり嘔吐している場合は水分摂取は控えましょう。
上記の対応をしても症状が改善しない場合は、病院を受診しましょう。また
・経口で水分摂取できない。
・様子を見ていたが症状が改善しない。
・意識はある。
これらの場合は、点滴治療が必要なため自家用車などで病院を受診しましょう。
ぐったり感が強く、体温が高い、意識障害が少しでもある、もしくはけいれんがある場合は入院して治療が必要があるため、救急車を呼んで下さい。救急車を待つ間も応急処置を行って下さい。
体温が高いと、解熱剤を使いたくなる方もいらっしゃると思いますが熱中症の発熱には効きません。ですが頭痛の鎮痛には使用できます。
熱中症予防のポイント
・天候…梅雨の合間の晴れ間、梅雨明け、30度以上は要注意
急に暑くなる日や、高い湿度は熱中症のリスクが上がります。また気温30度以上での運動は危険です。
・服装…なるべく薄い色、吸湿性や通気性の良い服、屋外では帽子の着用、保冷剤を併用する。
・外出…直射日光を避ける、地面の熱に注意
小さい乳幼児やベビーカーは大人より地面の熱を受けやすい。
・屋内…屋内だからと油断しない
日差しのない屋内でも屋外同様、注意が必要です。特に締め切った体育館などは風もなく、熱中症のリスクが高いです。
・車内…絶対に置いて出ない
乳幼児は自力で状況を考えて動くことはできません。寝ているから…少しの間だから…と車内に放置することは絶対にやめましょう。最悪の場合、死に至ります。
普段の生活から気をつけよう
疲れがたまっていたり、体調が悪い時は熱中症になりやすいです。普段の生活から気をつけましょう。
・体調のコントロール
十分な睡眠(特に午後の適度な昼寝は効果的)、食事をしっかりとり、体調不良の時は特に気をつけましょう。
・暑さに慣れさせる
日頃から適度に外遊びをして、身体を暑さに慣れさせることも大切です。休憩は大人が声をかけて促しましょう。
・十分な水分と電解質補給
こまめに水分補給をしましょう。大人が声をかけて積極的に水分を摂りましょう。熱中症を予防するための飲み物は、水や麦茶、市販のスポーツドリンク、お出汁などが良いです。授乳中の場合は母乳やミルクで大丈夫です。日頃の食事ではお味噌汁で塩分補給するのが良いでしょう。予防のために経口補水液を飲む必要はなく、飲みすぎるとペットボトル症候群を引き起こすので注意しましょう。
熱中症について正しい知識を持って、子どもたちを熱中症から守りましょう。